2007年04月14日

どうなった?シックハウス

シックハウス症候群、90年代に大きく取り上げられたこの問題も、最近ではあまり話題に登らなくなってきた。でもこれは、社会の注目度が低くなった訳ではなくて、健康的な家作りをするのが当たり前だって、皆が考えられるようになってきたからだと思う。

そのための法律もできたし、メーカーの対応も進んだので、当初一番問題になっていたホルムアルデヒドの発散量が減ったのは確かだ。でも、それだけでシックハウスの問題が解決した訳ではない。そもそもシックハウス症候群について医学的なきちんとした定義はまだないそうだ。

「化学物質らしきモノに汚染された室内で体調不良を起こした状態」っていうのが、一般的な認識だろう。シックハウス症候群と並んで難しいのが化学物質過敏症だ。こちらは「極微量の化学物質にすら反応して体調不良を起こしてしまう体質」って考えればいいと思う。こちらも医学的な解明はあまり進んでいないそうだ。

しかし、もし新築の住宅や内装をリフォームしたマンション等で、化学物質過敏症であると言っておいたにもかかわらず、住み始めてから症状が悪化したような場合には、訴訟に発展するケースも増えているようで、裁判所としてはこの病気を“存在する疾病”と認識し、設計者や施工業者の責任を問う判決がでているようだ。

どうなった?シックハウス
建材の安全性を示すいろいろな表示

ところで、ここまで書いてきても、なかなか前へ進まない。シックハウスを正しく理解するには、科学的な知識が必要で難しい。そのせいか、間違った解釈をされて、言葉が独り歩きしている部分がたくさんあり、それが原因で、必要以上に住まい手の人が不安を感じたり、また、不安な人の心に付け込んだ胡散臭い商品が出たりと、収拾がつかなくなってしまっている部分が多いのではないだろうか?

一見収束したように見える問題だが、このままにしておいていい問題だとは思えない。もう一度、原点に戻って、本質的なところを見極めないと、安心して暮らし続けられる家を手に入れられない人達がいつまでも増え続けるし、アレルギーや過敏症を抱えて不安な人達、そういう子どもを持った親の方達が、何をよりどころにしていいか解からない状態が続く。私たち作り手だって、一生懸命やったつもりが、よい結果が出なくて悩む可能性だってある。

何でこんなにシツコク言うかっていうと、同じようなパターンに"バリアフリー”があるからだ。例えば車椅子利用の件に関して考えても、20年前の事を思えば、最近ではエレベーターの無い役所やスロープの無いお店は少なくなってきた。でも逆に“こんだけやっときゃバリアフリー”みたいな風潮ができちゃって、実際には日常の快適さを全然体感できない車椅子生活者がまだまだ多いのだ。まして、他のハンディに対する個別の配慮には、まだまだ程遠いのが現状だ。

シックハウスの問題で、同じ事を繰り返してはいけない(勿論バリアフリーの問題も、もっと改善しなければいけない)。言葉の説明をしながらシックハウスの話をすると長くなるので、言葉の一般的な意味はWikipediaのリンクを利用させてもらいつつ、快適な室内環境づくりのために必要な事を、少しずつでも書き続けていかなければいけないと思ったのだった。

野菜の芽が出た!とか、りんごが○○した!とか、ドラゴンズが勝った!とか、あっちこっち寄り道すると思うけど、頑張って続けてみたい。

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