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2007年07月07日

廊下のない家ー3

マムッチ騒動や妖しい事ばかりあったりで、前回からずいぶん間隔が開いてしまったが、久々にお仕事ネタを書いてみたいと思う。

前回は廊下があることによるメリットを考えてみた。今回はその逆、廊下があることで損なわれる居住環境について考えてみる。

日本の住宅の平均的床面積は約100㎡、約30坪といわれている。その中で廊下・階段・玄関等、通路スペースが占める割合は何%くらいだろう?建売住宅や和風住宅の平面図をみてみると、だいたい全体の15%前後、多いところで20%くらいと見受けられる。

そのうち必要不可欠な玄関・階段が占める割合はその内の約半分、建物の延べ床面積の7%~10%くらいだ。これらは、できればゆとりをもって作りたい。残りの廊下部分はというとこれも7%~10%くらい。これを30坪の平均的住宅の床面積に換算すると、約2坪~3坪、畳にして4畳から6畳の広さに相当する。

あまり豊とはいえない日本の住宅事情において、このスペースは貴重だ。まず廊下を無くす事で体感できる第一のメリットは、使える部屋や収納スペースをその分広く取れることだ。

そしてもうひとつ同じくらい、いや、それ以上に価値のあること、それは、住宅全体をひとつの空調空間にできるということだ。計画的な換気や温度管理ができるようになり、家の中の温度バリアがなくなる。それは結果的に結露防止、お年寄りの(注)ヒートショック防止につながる。

今までも何度か触れてきたが、人間と建物とが健康でいられるために、冬季の室温と湿度管理はとても重要だ。局所暖房によって暖かい部屋と寒い部屋が分かれてしまうと、人はヒートショックをおこしやすくなり、建物は結露しやすくなる。せっかく外部に面する部分(外壁・屋根・床)の断熱工事をしっかりしたとしても、廊下で部屋が隔てられてしまい、暖かい部屋と寒い部屋ができてしまうと意味が無い。

もっとも、空調設備によって、例え室内の各スペースが分断されていようとも、どのようなスペースも同じ温度湿度に保つことは可能だろう。しかしそのコストは?イニシャルコストと共にランニングコストの負担も大きいものになるだろう。例えどんなに断熱性能の優れた家であろうと、設備は電気がなければ動かないからだ。

来年は遂に、京都議定書で議決されたCO2削減を実施しする年になる。そんな待ったなしの時代に、イニシャルコスト、ランニングコスト共に大きくなるような住宅設備は“悪”であると考えて欲しい。ちょっと過激な言い方かもしれないけど・・・

それに、住宅の設備はなるべく簡素な方がよい。修繕がしやすく壊れにくく、部品の交換等で使用持続可能なシステムにすることが大切。目に見えない部分の配管や機械設備が増えるということは、メンテナンスにかかるコストも増大すること間違いない。

では、単に廊下をなくして、玄関を開けたらひとつの空間がドーンと見渡せる、そんな家がよいのかというと、そんな訳にはいかない。プランニングに必要なポイントはまた次回。

続く



廊下のない家


注)ヒートショック  暖かい部屋から急に寒いトイレに移動したり、寒い脱衣所で服を脱いだ直後に熱い浴槽に入ったりした時、急激な血管の収縮や拡張に伴い血圧が急変動して、脳血管障害などを引き起こすこと。  

Posted by やまね at 13:14Comments(0)間どりの話